2025年9月6日土曜日

東福寺の方丈庭園

台風の被害にあわれたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。
1日も早い復旧をお祈り申し上げます。 

ロンドンツアーの旅行記は先回で終了しました。
お時間あったら読んでみてくださいね。
その1 はこちらから。その16まであります~。

このロンドンツアーは阪急旅行社の企画だったので、利用空港は関空。
私は京都から特急で関空へ向かいました。

集合時間が夕方だったので、京都で観光してから特急に乗りました。転んでもただじゃ起きない貧乏人根性(^-^;
遠出はさすがに何かあると困るので、電車で一駅行った東福寺へ。

ここで見たかったのは作庭家・重森三玲(1896-1975)が作庭した方丈庭園です。
「美の壺スペシャル”庭園”」で紹介されており、以前から行きたいリストに入れていました。

駅から歩いて12分くらいでしょうか。
暑い日だったので(今年は5月から暑い日が続いていましたよね)その12分で汗がふきだします。



先に、入り口から近い通天橋に入ることにしました。庭園だけ見ようと思っていましたが、共通券があったのでせっかくなので通天橋も見てみることに。


通天橋とは、開山堂へと続く橋廊。天授6年(1380年)に春屋妙葩が架けたとされます。



橋の下は、洗玉澗と呼ばれる渓谷で川が流れているのですが、有名なのは秋の紅葉。
これら緑の木々はみな秋には紅葉するのですね。



橋を横から見るとこんな感じ。
周りは庭園になっていて散策ができますが、暑くて暑くて、とてもそんな気になれませんでした・・・。開山堂も外から見ただけ・・・。

体力があるうちに、目的の方丈庭園へ。

方丈とは、禅宗寺院における僧侶の住居だそう。のちに相見(応接)の間の役割が強くなりました。

禅宗の方丈には、古くから多くの名園が残されてきましたが、方丈の四周に庭園を巡らせたものはここだけだそうです。(私が書いている情報はすべて東福寺のHPからまとめたもの)

作庭にあたっての唯一の条件は、本坊内にあった材料はすべて廃棄せず再利用すること。

これは禅の教えである「一切の無駄をしてはならない」からきていて、制約の中の美を最大限に追求した庭だといえますね。


庭は方丈を中心とした四方(東、南、西、北)に4つ作られ、それぞれ異なる表現でありながら、全体のストーリーが繋がるような構成となっているそうです。


入ってすぐに目に入るのが南庭で、みなそちらに目がいくのですが、実はその東側に東庭があります。


東庭の表しているものは星座の「北斗七星」。それを円柱、白川砂、苔、背後の二重生垣のみによって表現しているとのこと。

そして多くの人が座って長く鑑賞していた南庭。


蓬莱、瀛洲、壺梁、方丈の四神仙島を、石だけの構成による四つの意匠で表現。
その中の三神仙島(蓬莱、瀛洲、壺梁)には、6mほどの長い石を、立石とのバランスをとりながら横に寝かせています。
このような石の扱い方は、古庭園における意匠では、ほとんど例がないそうですよ。



極度なまでの立石を、この大きな横石によってバランスを保つようにしたところが、従来までの石組手法とは異なる新たな提案であった。これによって、三玲自身の新しい石組手法が確立されたといってよいであろう。(HPより)



上の写真右手にあるコケの丘が、西の庭への導入となっていて・・・・


この西庭へ違和感なく入っていけます。

西庭

日本古来から伝えられてきた伝統的な市松模様を、サツキの刈込と葛石の使用によって大市松模様に表現。

斜線上に市松を組むことで、次に見る北庭の小市松模様に繋がっていくことを意図しているんだそうです。



北庭

西庭の大市松を受けてさらに小さな姿となり、そして東北方向の谷に消えていくという表現方法。

本庭の最初の部分は、西庭の市松を受け継いでいるために、ほぼ正確な市松で配置されているが、程なくしてそれが崩れていき、そして最後はポツン、ポツンと一石ずつ配しながら消えていくという配置構成になっているそうです。
なるほど!

そして、最初に見た東庭に戻っていくわけですね。


最後にもう一か所、この東福寺の御開山は・・・聖一国師!
静岡県のお茶好きさんなら知っているこのお名前。

聖一国師は宋の国 径山万寿禅寺に学び、茶を故郷の静岡に伝えたとされる静岡茶の祖です。

ここ東福寺に、茶の木が植えられていると知り、どこにあるのか聞くと、本堂(仏殿、法堂)前とのこと。行ってみると見事な茶の木の生垣ができていました。






この茶樹は、聖一国師の生誕地・静岡県栃沢で育種されたもの。
栃沢の方々の尽力により2006年にさし木され、その後も茶樹の植樹が行われながら大事に育てられてきたそうです。

2020年から毎年12月上旬に行われている無料の茶振舞いは、栃沢のお茶が栃沢の人々の手でふるまわれているとか。聖一国師がつないだご縁ともいえますね。

いきさつなどはこちらのブログからどうぞ。


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浜松、掛川、静岡でさせていただいているお茶会は夏の間、お休みいたします。
10月から再開します。
10月以降のお茶会の予定です。

★★奥田実紀が同行する静岡お茶ツアー(一泊二日、日帰り参加可)
2025年10月24日(金)~25日(土)
現地集合、現地解散 詳細はこちらをご覧ください


★★10月29日(水) ロンドンのお茶会@浜松市
ロンドンツアーのお写真をお見せしながらイギリスの魅力をお伝えします。
午前の部、午後の部とも、キャンセル待ち受付中。
参加費:2,800円
会場:浜松市入野の個人宅 駐車場有


★★11月20日(木)ヴォーリズのお茶会@静岡市
ウィリアム・メレル・ヴォーリズの来日120周年にあたる今年。彼が手がけた建物を中心にその魅力をお伝えします。会場の旧宣教師館ミス・カニンハムは、ヴォーリズの建築です。通常は非公開。

午前の部 10:30~12:00 空きあり
午後の部 13:30~15:00 満席(キャンセル待ち)

参加費:3,000円
会場:英和女学院旧宣教師館ミス・カニンハム(静岡市葵区西草深町34-13)駐車場はありません。


★★11月26日(水) ヴォーリズのお茶会@浜松市
ウィリアム・メレル・ヴォーリズの来日120周年にあたる今年。彼が手がけた建物を中心にその魅力をお伝えします。
13:30~を予定していますが、ご希望が多ければ午前も開催します。

参加費:2,800円
会場:浜松市入野の個人宅 駐車場有

お申込み、本のお申込等のお問合せは奥田あてに!

こちらからどうぞ(goole form) 。返信はパソコンのフリーアドレスになります。受信拒否設定されていると返信メールが届かないので、数日たっても返信がない場合はお手数ですが設定を変更されるなど、お客様のほうで対処お願いします。
こちらからメールをしないということはございません。
携帯メールを使って送られてこられた方への私の返信がブロックされる例が多発しています。こちらでは対処のしようがありませんので、ご自身の設定を確認お願いします。
メールアドレスの入力ミス(打ち間違い)も過去ございました。再度フォームから入力をしてみていただくのも一案です。


これまで出版していただいた本がどんどん絶版になっています。原料高で増刷もないとのことです。新品でまだ購入できる本をまとめてあります。サインもいたしますのでご希望の方は ↑ からご連絡くださいね。


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2025年9月3日水曜日

ロンドンツアー日記その16 ホランド・パーク

ロンドンツアー日記





その10 チェルシー・イン・ブルーム

その11 コッツウォルズツアー①バイブリー


その12 コッツウォルズツアー②バートン・オン・ザ・ウォーター


その13 ストウ・オン・ザ・ウォルド


その14 チッピング・カムデン


その15 ストラトフォード・アポン・エイボン



5/24(土) ツアー最終日

最終日はホテルを10:30出発で、帰国の途へつきます。
10:30出発なので、がんばれば中心地を散策することもできましたが、さすがに疲れてしまったので、ホテルのそばのホランド・パークの散策にしました。








ホテル(ヒルトン・ロンドン・ケンジントン)の周辺は高級住宅街。
マスコミやクリエイター関連の人が多く住んでいるとも、昨日のドライバーが説明してくれました。




ケンジントン・ガーデンやハイド・パークに比べれば規模は小さいものの、広大な公園であることは同じです。
木々に囲まれた森の中・・・

 

ホランド・パークで有名なのは日本庭園(京都庭園)。ロンドンで行われたジャパン・フェスティバルの開催を記念して京都商工会議所との合同プロジェクトとして作られたのだそうです(なんちゃって日本庭園ではない(~_~;))。





ここはもともと、17世紀、ジェームズ1世の下で大蔵大臣を務めたウォルター・コープ卿の敷地で、コープ城が建れられました。
その後、ホーランド伯爵の妻レディ・リッチがこの土地を相続し、コープ城を”ホランド・ハウス”と改名しました。

上の写真の銅像は、第3代ホランド男爵ヘンリー・リチャード・フォックスの像だそうです。





ホランド・ハウスは第2次世界大戦の空襲で大きな被害を受けましたが、一部は残ったそうですが、私が行った時は修復中らしく仕切りで囲われて見えませんでした。

上の写真は、現在ベルヴェデーレ・レストランになっている建物。
レストランのHPを見ると、1638年から1640年にかけて第1代ホランド伯爵ヘンリー・リッチが厩舎と馬車小屋の一部として建てたものだそうです。
これが厩舎ですか・・・(◎_◎;)と思ったら、やはり当時としてはかなりお金をかけたらしく、イニゴ・ジョーンズとアイザック・デ・コウスが華麗なデザインを手がけたと考えられているとのこと。

とはいえ、19世紀には取り壊されたかしてオリジナルはなくなっていて、先の写真の銅像になった第3代ホランド男爵とその妻エリザベスのために作られたのがこの建物。
展望回廊(ベルヴェデーレ)を備えた舞踏室とオランジェリーで構成されています。

19世紀に建てられたとはいえ、建物の雰囲気は当初のジャコビアン様式が残っている気がします。ホランド・ハウスがジャコビアンなので(私は見ることができませんでしたが(^^;)、それに合わせたのでは??

”ジャコビアン”とは、ジェームズ1世の時代に流行した美術様式。ジェームズ1世の”JAMES”がヘブライ語のヤコブ “Jacob”に由来することからそう呼ばれます。

ジェームズ1世は、スコットランド女王メアリーの息子、スコットランドの王なんですよ。
エリザベス1世が子どもを残さなかったので、イングランド王も兼ねることになったんです(同君連合)。

ジェームズ1世のあとは、その息子チャールズ1世、その息子チャールズ2世、その弟ジェームズ2世と、スコットランド王家の血筋が続きます。ジェームズ2世までを広くジャコビアン様式に含めることもあるそうです。

このスコットランド王家の血筋を支持する人びとを”ジャコバイト”と呼びます。このジャコバイトが、タータンとも関わってくるんですが、それは拙書のタータンの本に詳しく書いてますので読んでみてください<(_ _)>



噴水のある前庭がとてもきれいです。







この展望回廊が素敵ですね。
描かれている絵は、よく見ると、この建物の庭でくつろぐ貴族の絵です。
右側に描かれている日時計(?)、現在の庭にもありましたよ!↓





第3代ホランド男爵とその妻エリザベスは当時カリスマ的カップル(悪い意味でも)だったそうで、著名な人々がここに集まったそうです。
メルバーン首相やバイロン卿、チャールズ・ディケンズやウィリアム・ワーズワースも食事に招かれたとか。

次の世紀、1939年にはジョージ6世とのちのエリザベス女王が「デビュタント・オブ・ザ・イヤー 」のロザリンド・キュービット(カミラ王妃の母)のために豪華な舞踏会に出席した、とHPに書いてありました。その後、建物は爆撃で破壊されて大部分を失ってしまうのですが・・・。





近所の住民の散歩道にもなっているよう。この日は土曜日だったので、観光客というより、地元民と見られる人々の姿が多かったように思います。



ダッチ・ガーデン。
これから花を植えるのでしょう。ちょっと寂しい。






イギリスの公園は、椅子もたくさんあるのがいいですよね。




歴史のあるこんなレストランで食事をしてみたいものですね。




写真左側が、オランジュリーと思われます。結婚式場としても利用されているようです。
西側にはバラ園がありました。ここもまだ時期的にちょっと早くて寂しかった。

ホランド・パークを南に行くと、私が同行解説した英国ファンタジーツアーで泊まったホテルのあるハイストリート・ケンジントンに行きあたります。
時間があればそちらまで行きたかったけれど、時間切れでした。

英国ファンタジーツアー日記はこちらから。その20まであり、長いです(;^_^A 湖水地方からロンドンまで、南下していくツアーでした。


さて、昨日はあんなにいい天気でしたが、最終日は曇りで小雨もぱらついていました。
でもどしゃぶりでないだけ感謝ですね。雨だからか、ちょっと湿気があり、歩いて汗だくになりました。

ギリギリの時間まで観光し、疲れましたが大満足で帰国の途につきました。

これで私が参加したロンドンツアーの備忘録はおしまいです。


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浜松、掛川、静岡でさせていただいているお茶会は10月から再開します。
10月以降のお茶会の予定です。

★★奥田実紀が同行する静岡お茶ツアー(一泊二日、日帰り参加可)
2025年10月24日(金)~25日(土)
現地集合、現地解散 詳細はこちらをご覧ください


★★10月29日(水) ロンドンのお茶会@浜松市
ロンドンツアーのお写真をお見せしながらイギリスの魅力をお伝えします。
午前の部、午後の部ともキャンセル待ち受付中です。
参加費:2,800円
会場:浜松市入野の個人宅 駐車場有


★★11月20日(木)ヴォーリズのお茶会@静岡市
ウィリアム・メレル・ヴォーリズの来日120周年にあたる今年。彼が手がけた建物を中心にその魅力をお伝えします。会場の旧宣教師館ミス・カニンハムは、ヴォーリズの建築です。通常は非公開。
13:30~を予定していますが、ご希望が多ければ午前も開催します。

参加費:3,000円
会場:静岡英和女学院旧宣教師館ミス・カニンハム(静岡市葵区西草深町34-13)駐車場はありません。


★★11月26日(水) ヴォーリズのお茶会@浜松市
ウィリアム・メレル・ヴォーリズの来日120周年にあたる今年。彼が手がけた建物を中心にその魅力をお伝えします。
13:30~を予定していますが、ご希望が多ければ午前も開催します。

参加費:2,800円
会場:浜松市入野の個人宅 駐車場有

お申込み、本のお申込等のお問合せは奥田あてに!

こちらからどうぞ(goole form) 。返信はパソコンのフリーアドレスになります。受信拒否設定されていると返信メールが届かないので、数日たっても返信がない場合はお手数ですが設定を変更されるなど、お客様のほうで対処お願いします。
こちらからメールをしないということはございません。
携帯メールを使って送られてこられた方への私の返信がブロックされる例が多発しています。こちらでは対処のしようがありませんので、ご自身の設定を確認お願いします。
メールアドレスの入力ミス(打ち間違い)も過去ございました。再度フォームから入力をしてみていただくのも一案です。


これまで出版していただいた本がどんどん絶版になっています。原料高で増刷もないとのことです。新品でまだ購入できる本をまとめてあります。サインもいたしますのでご希望の方は ↑ からご連絡くださいね。


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