2025年7月25日金曜日

ロンドンツアー日記その8 キューガーデン

  ロンドンツアー日記





その7 二階建てバスでアフタヌーンティー



2003年、敷地全体がユネスコ世界遺産に登録された「キューガーデン」
東京ドームの約28倍の面積。
3万種以上の植物と、約1万4000本の樹木が植えられ、22万点を超えるボタニカルアートを所蔵する世界最大級の植物園です。


キューガーデンではガイドさんが一部ですがガイドしてくださり、そのあと自由行動でした。ほとんどの方がガイドさんについていかれましたが、私は一人、離れました(;^_^A

行きたかったところを制覇したかったのです。
2021年と2023年に静岡市美術館で開催された、英国王室とキューガーデンに関する展覧会に合わせてお茶会を企画し、キューガーデンを愛したジョージ三世とシャーロッタ王妃についてお話をさせていただき、お二人ゆかりの場所は絶対に見たかったのです。






英国王室とキューガーデンのお茶会@浜松



内部が見学できる施設は16時に閉まってしまうので、早く行かないと!と焦っていたのでした。
一つ一つがものすごーく離れているため、できるだけショートカットで効率的に歩くとしても、かなりの距離を歩くことになりましたが・・・(◎_◎;) がんばりました(笑)




こちらはオランジェリー。先の日記に書いた、ケンジントン宮殿のオランジェリーと同じように、熱帯の果物を育てるために建てられたもの。




築年はこちらのほうが古く、1761年築。「1761」の数字が見えます。
当時とまったく同じではないですが、当時の古典様式(ギリシャやローマなどの古代建築の要素を取り入れた建築様式)が残っています。




中はカフェレストラン。
ちなみに当時、オランジェリーは加温設備のない建物をいい、加温設備が整っている建物は温室(グリーンハウス)といったそうです。




オランジェリーのすぐそばにあるのが「キュー・パレス」
ここは内部を見たかったので、閉館する前にと、いのいちばんに行きました。

1631年築ですが、現在の姿になったのは1802年。
当初はオランダ風のたたずまいから「ダッチハウス」と呼ばれたそうです。
ジョージ三世とシャーロット妃が「最も小さな宮殿」と呼び愛した家で、1764年の夏の期間を子どもたちと一緒にここで過ごしたそうですよ。



ジョージ三世とシャーロット王妃の肖像画。
シャーロットはドイツからお嫁に来ました。

余談ですが・・・プリンス・エドワード島の名前の由来は、ジョージ三世の四男から。首都シャーロットタウンの名前はこのシャーロット王妃からついたのですよ(^^♪

キューはもともと、ふたつの別々の、私設王室庭園でした。
ジョージ二世とその妃キャロラインの庭園、もうひとつは息子のフレデリック皇太子とオーガスタ妃夫妻の、私的な庭園でした。

この二つの庭園をひとつにしたのが、ジョージ三世です。
現在の名称がRoyal Botanic Gardensと、複数形になっているのはこのため。



館内には当時の暮らしがわかるしつらえがされています。






二人とも質素な食事を心がけ、太っていなかったそうです。




窓から見えたお庭。当時上流階級で流行った整形式庭園。




整形式庭園の横にはハーバル・ガーデン。
キュー宮殿が建てられた当時、英国はハーブの全盛期。当時出版されたハーブ図鑑に登場するハーブが植えられている、と案内板にありました。




キングサリのトンネル。黄色の花房がちょっと見えます。








↑ 隅にあったこれは東屋ですね。
『秘密の花園』を書いたフランシス・ホジソン・バーネットが借りたイギリスのマナーハウス(物語の着想を得た庭がある)にも、これとそっくりのレンガ造りの東屋がありました!
(詳しくは拙書『図説英国ファンタジーの世界』(河出書房新社)をご覧ください)





整形式庭園から見たキュー・パレス。
王と王妃は、王室の宮殿としてはかなりこじんまりとしている、このパレスで過ごすのがお好きだったようですね。


次に目指したのはグレート・パゴダ(大仏塔)。




中央の歩道を延々、歩いていくと見えてくるパゴダ。
木々の間から塔の先端が見えますか?
点のように小さいパゴダが、歩を進めるにつれだんだん近くなってくると自分の努力が(笑) 報われたようで元気が湧いてきます(^-^;

途中で一度、休憩しましたが・・・。



これこれ。
先に訪れたヴィクトリア&アルバートミュージアムで、このパゴダの置物を見たんでした。(展示されていたパゴダの置物は、このグレート・パゴダの建築時より50年ほどあとのもの。シノワズリーというフランス語でも知られるように、中国趣味が、ヨーロッパで流行したのですが、50年たってもまだ中国趣味が続いていたんですねー)




グレート・パゴダは1762年築。
先に見たオランジュリーやこのパゴダは、異国情緒を添えるフォリー(庭園装飾用の建物)として建てられたのですが、オーガスタ妃の希望で作らたんだそうです。

オーガスタ妃はジョージ三世の母ですね。
オーガスタ妃も植物が好きで、庭園を大拡張して異国の植物と薬草を栽培する本格的な植物園を造成しました。

オーガスタ妃の夫が本来なら次の王位を継ぐはずでしたが、早くに他界してしまったため、息子(のちのジョージ三世)が若くして王位を継承することになったのです。
ジョージ三世も母親の影響を受けて大の植物好きだったんですって。

グレート・パゴダは八角形の塔で、建築当時はヨーロッパで最も本格的な中国式の建物だったそう。
高さ50mの10層構造で、内部に253段の階段を持ちます。
登れますが、さすがに私、疲れ切ってて登る力がありませんでした・・・・このあとまだ行くところがありましたし・・・(根性なし)。




この花が満開でこぼれんばかりでした。これ、サンザシですよね?


ここから、クイーン・シャーロット・コテージをめざします。
パゴダまで歩いてきた距離に比べればそれほど遠くない距離ですが・・・
すでにもう疲れています(;^_^A




こんな外れまで来る人は私くらいだろうと思っていたら、一組、いました。なんて奇特な。




クイーン・シャーロット・コテージは、1770年、ジョージ三世が結婚記念として建てた茅葺のコテージ(写真右奥)。
1818年まで使用されていたそうです。
開館するのは土日祝みたい。せっかく来たのに・・・残念(;O;)




シャクナゲが見事でした。
シャクナゲはヴィクトリア朝に普及し、大人気になった花。
プラントハンターたちがヒマラヤや中国から持ち帰りました。そこから多くの品種が生まれました。
日本では江戸時代に園芸植物としてもてはやされたとか(おお!まさに蔦重の時代!!)。

このコテージまではるばる来まして、目標達成。
あとは戻るのみ。



ヴィクトリア・ゲート(ショップやカフェがある中心的ゲートで鉄道駅の最寄り)までまた歩いて戻るのか~~~~(+_+)
ため息が出ますが、仕方がありません(^-^;

途中、テンパレート・ハウスがあります。
1859年築。4880㎡と大きなガラスの温室。この時代の温室としては世界最大だそうですよ。




この扉が重いの・・・・。



歩いて歩いて汗をかいているので、温室の中が暑すぎる・・・。すぐに出ました。





テンパレート・ハウス(上の写真の奥)から戻る途中、かわいい庭園がありました。

ここから延々と、ヴィクトリア・ゲートまで歩きます。もうへとへと・・・




ヴィクトリア・ゲートからすぐのところにある、キューガーデンのシンボル的温室「パームハウス」
1848年完成。当時世界最先端だったイギリスの工業技術(鉄とガラス)を駆使し、4年の歳月をかけて建てられたガラスの温室。
長さ110m、幅30メートル、高さ19m。
支柱を用いず梁で構造を保つと言う造船技術を用いた躯体は、鉄骨と1万6千枚のガラス板で作られているそうです。
1851年の万博の前に作られているので、この温室建築の技術が、万博のクリスタル・パレス建築に活かされました。




パーム・ハウスの裏側にはローズ・ガーデンがありました。
5月でしたが、だいぶ咲いてました。






初めて遭遇、生ロビン♪♪

ショップで友達と落ち合い、次の目的地へ。
ツアーでは、ホテルまでガイドさんと一緒に電車で戻る、となっていましたが、ここで解散希望の方が多かったということで、私もここで解散組みに入りました。

というのも、このそばのお店でアフタヌーンティーをしたかったからです♪



こちらがヴィクトリア・ゲート。最寄り駅から一番近い出入口です。

このゲートを出て左へ歩いていくと、目的のお店が見えてきます。

(つづく)


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浜松、掛川、静岡でさせていただいているお茶会は夏の間、お休みいたします。
10月から再開します。
浜松での10月以降のお茶会の予定です。

10月29日(水) ロンドンのお茶会
ロンドンツアーのお写真をお見せしながらイギリスの魅力をお伝えします。

11月26日(水) ヴォーリズのお茶会
ウィリアム・メレル・ヴォーリズの来日120周年にあたる今年。彼が手がけた建物を中心にその魅力をお伝えします。

両日とも時間は13:30~を予定していますが、ご希望人数が多ければ午前の部も設定いたします。
参加費:2,800円


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