2015年7月17日金曜日

プリンス・エドワード島ツアー2015旅日記その7







2015年7月3日(金)、楽しい時間はあっという間に過ぎていきます、早いものでもう、島観光の最終日です。

まずは、キャヴェンディッシュ・ビーチへ。
北海岸は赤土の断崖絶壁があるかと思うと、美しい砂浜もあり、海岸へと続く砂丘ありと、風光明媚で知られ、国立公園に指定されたこともうなづけます。



砂浜は、暑い日には海水浴客で賑わいます。
とはいえ、海水の温度は夏でもかなり低く、私たち日本人にとっては冷たすぎて泳げる温度ではありません(^_^;)  

モンゴメリは海岸を散歩するのが好きで、よくぶらっとこのあたりに来ていたそうです。カメラが趣味で、このあたりの風景も撮影しています。
モンゴメリは、日記だけでなく、写真、そして手紙やカード類などをスクラップするなど、たくさんの資料を残しているので研究しがいのある作家ともいえます。  


6号線を走って、ニューロンドン、そしてパークコーナーへと向かいます。
ニューロンドンにはモンゴメリの生家、パークコーナーにはモンゴメリの祖父の家と、いとこの家があり、このあたりもアンファンは必ず訪れる場所です。  




生家は午後に見るということで通過し、フレンチリバーの絶景ポイントで停車。
この風景は、誰もが停まって撮影してしまうほどの絶景ポイントになっています。

当初はただの野原でしたが、地主のホッターさんが、撮影する人が安全なようにと、広い駐車場を作って誰でも入れるよう整備してくれて、大型バスも停まれるようになりました。
ホッターさんは島の人ではなく、年の数回くらいしか、この場所に来ないとはいえ、観光客のことを思っての配慮がうれしいですね。
「ホッターズ・ビュー」という看板が立てられていますよ。

 

ホッターさんの別荘がある丘にも、ルーピンが咲き乱れていました。  

ここからすぐのところにあるニューロンドン灯台も訪れました。
本当は、ケープ・トライオン灯台(ここも絶景で有名)に行きたかったのですが、灯台へ入っていく道が車一台しか通れない細い私道で、あまりに人が行き来するのは迷惑になるということで、ツアーでは入るのは控えているようです。



ニューロンドン灯台は、『アンの夢の家』の、ジム船長が住む灯台を彷彿とさせる素朴な灯台です。  

映画「アンを探して」でもロケされたところ。
このそばにカウズのアイスクリームの屋台がある設定になっていましたが、実際はもちろん、屋台はありません。  

この灯台からパークコーナーはすぐ。
モンゴメリの父方の祖父の家は、博物館となっていたのが閉鎖され、中の調度品がオークションにかけられてしまいました(;O;) 

でも建物はモンゴメリ家の子孫が所有し、いずれはB&Bにするとのことなので、それを楽しみに、外観だけ車から拝見。  

祖父の家の斜め向かいにあるのが、モンゴメリのいとこにあたるキャンベル家の農場。
赤毛のアン・ミュージアム」という名前で公開されていますが、私たちファンの間では”シルバーブッシュ(銀の森屋敷)”と呼ばれています。

モンゴメリの別の小説『銀の森のパット』『パットお嬢さん』の舞台になった銀の森屋敷のモデルがこの家だからです。
この家にはモンゴメリと同じくらいの年齢のいとこがたくさんいたので、モンゴメリはこの家に遊びに来るのが大好きだったそうです。  

モンゴメリは自分を育ててくれた祖母が亡くなるまで結婚をせず(長い婚約期間があった)、祖母が亡くなったあと、この家で結婚式を挙げました。
当時は教会ではなく自宅に牧師さんを呼んで結婚式を挙げるのが普通だったのです。
モンゴメリが式を挙げた客間や、ウエディングマーチを弾いたオルガンなどがそのまま残っています。

私が島に住んでいた時からここのオーナーのジョージさんには大変お世話になり、ちょうどジョージさんがいらっしゃって、何十年ぶりかの再会になりました。
私のことを覚えていると言ってくださいましたよ。  


ここでは馬車に乗ることができます(有料)。突然の訪問でしたが、馬車の予約までにちょっとだけ時間があるから5分くらいでよかったら乗せてあげる、とのお申し出に、みなさん大喜びで、馬車体験。アンがマシュウの馬車に乗っている光景を思い浮かべて……。

 

こちらの農場の目の前には池(正確に言うと海につながる入江)が広がっており、これが物語に登場する「輝く湖水」のモデルの一つになった池なのです。  

お天気もよくなってきて”輝く”湖面が撮影できましたよ。  

ここから車はケンジントンへ。
昔の鉄道の駅舎が残っていて、アンの時代の雰囲気を思わせるということで、多くの人が立ち寄ります。  


私が住んでいた時は駅舎の中がこじんまりとしたカフェになっており、静かな雰囲気でしたが、今回行ってみたら、テラスのあるカフェになっていてまあ、なんてしゃれた雰囲気になったんでしょう!! 

アンの時代に敷かれていた鉄道は現在はすべて閉鎖、残された線路はしばらくはそのままになっていましたが、遊歩道にするべく撤去工事が進められ、やっと全部が終了。
「コンフェデレーション・トレイル」として、自転車か徒歩でしか行けない遊歩道がきれいに整備されました。
自転車旅行が好きな方は、このトレイルを制覇する旅もいいかもしれません。
とはいえ、けっこう長い距離があるので、一日二日では無理ですよー。

私は以前、一部分だけ、自転車を借りて走ったことがあります。
車が入れないことと、自然豊かな所を走るので気持ちがいいです。  

線路は全部撤去、と書きましたが、このケンジントン駅舎のところだけは、当時の面影を残すために線路がそのままになっています。  


お昼は、比較的新しくオープンした、農家レストラン「shipwright cafe」へ。
野菜や卵など、自分達で育てたオーガニックのものを使っているので、人気があります。パンやケーキ類も持ち帰れるのでそれだけ買いに来る人も。

 

マッスルに、クラムチャウダー。それからキッシュ。どれもおいしかったです!!! 
特にクラムチャウダー。寒い国はスープ類が絶品ですよね。  

私がどうしても行きたいとお願いして立ち寄ってもらったアンティーク屋さん「Gallery 18」を見たあとは、いよいよ、モンゴメリの生家へ。 

 

モンゴメリのスクラップブックや、結婚式のドレス(私が住んでいた時は実物が飾ってありましたが現在は痛みがはげしいためレプリカ)など、貴重なものの展示もあります。
『アンの愛情』で、アンが自分が生まれた家を訪ねる場面がありますが、その描写のもとになったのはこの家です。  

こうして、アンやモンゴメリゆかりの観光場所はほぼすべて制覇。
今日は観光する場所が宿泊施設から近いため、ゆっくりと見学しましたが、宿に着いたのは15時と、まだまだ時間に余裕がありました。

ガイドさんとはここでお別れし、あとは自由時間。  

私は海岸のほうをぐるっと歩いて、グリーン・ゲイブルズに戻ってくる散歩をしようと思っており、みなさんも行きたいとおっしゃるので、一緒に歩いてめぐることになりました。

島に住んでいた時も、ほとんど車での移動で、時間をかけて歩くということをあまりしていなかったので、今回の海岸沿いのウォーキングルートは私も初めて行くのです。
車が入れないこんな森の中の道をずんずんと歩いていきますよ。  


さきほど、パークコーナーの池が”輝く湖水”のモデルになったと書きましたが、モンゴメリはもうひとつ、キャヴェンディッシュにある池も、モデルの一つにしていました。
それが、このルートの途中で見えてくるこの池です。
池というにはこちらも大きい入江です。  


ゴルフコースの一部に入っているので、ゴルフカートが通っていくのがちょっと興ざめでしたが……。この池の周りにもカナダガンが群れていましたよ。  

そして砂丘が見えてきました! 砂丘の向こうは海です。  

風が気持ちよく吹き、小鳥のさえずり。他には何も聞こえず、本当に自然に抱かれたひととき。ぐるりと一周してキャヴェンディッシュの交差点へと向かいます。

レイチェル・リンド夫人の家のモデルとなったという、レイチェルという名の女性が住んでいた家が現在はB&Bになっておりまして、その家を外から拝見。
このB&Bは私は泊まったことがあります。とてもかわいらしいので、今回泊まったキンドレッドと並んでお勧めのお宿です。  

モンゴメリの眠る墓地から、おばけの森を抜けてグリーン・ゲイブルズへふたたび。
もう開館時間は終わっていたので静かな雰囲気を満喫して、宿へと帰ります。

途中、お土産屋さんにも立ち寄ったので、2時間近く歩いていたことになりますが、いつもおなかいっぱい食事を食べていたので、いい運動になりましたよ。  

夜は特別の宿の方が用意してくれたバーベキュー。たっぷりのステーキ。島のじゃがいも。マッスル……。あんなに歩いたけれどやはりおなかはいっぱいで、残してしまうことになったのが申し訳なかったです。  

こうしてあっという間の4日間が終わりました。

名残惜しい気持ちで眠りにつき、翌日の朝は4時(!)に宿を出発。
嫌な顔ひとつせず、爽やかに見送ってくださった宿の方、ガイドさんたちに、心からありがとうございましたm(__)m  

モントリオール、トロントを経由して、7月5日、羽田空港へと戻ってきました。
参加者のみなさんは気分も悪くならず、ご病気にもならず、お元気で過ごされたことが何よりでした。(私自身も) 

よい参加者さんに恵まれ、私もストレスなくご案内をすることができました。
感謝、感謝です。

番外編でおみやげ編へつづきます。

ツアーはまた企画したいと思います。


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