2019年2月25日月曜日

京都旅:インクラインと琵琶湖疏水

英国の羊展』を訪ねた日、午前は観光してました(;'∀') 

羊展の会場の京都市国際交流会館への最寄り駅は「蹴上」です。 
調べてみると、私が一度見たいと思っていた”蹴上インクライン”や”南禅寺水路閣”のそばだったので、歩いてみました♪ 

インクラインとは、傾斜鉄道のこと。
この蹴上インクラインは、世界最長587mの傾斜鉄道(跡)。 

明治時代初期、琵琶湖の水を京都に引くために建設された琵琶湖疏水(全行程20キロ以上にもなる大工事!)。
蹴上船泊から南禅寺船泊までの高度差が36メートルもあったため、船の行き来ができず、その解決のために、船ごと台車に載せて、動力によってレールの上を上り下りする仕組み「インクライン」が作られたのです。 


 
道路のかなり上を通っている線路。
斜めに下っていき、現在「疏水記念館」があるところが最終地点(南禅寺船泊)で、そこから水路で鴨川へつながっていくんだそうです。 


こちらは下っていった下から、上を撮影したもの。 両脇はサクラの木。
ここは京都でも有名なサクラの名所です(サクラの季節に来てみたいものです)。 

現在の蹴上インクラインは1977年に産業遺産として”復元”されたもの。
撤去されたのは1948年、鉄道の発達で疏水の利用者が減ったから。

輸送手段としての琵琶湖疏水はなくなってしまいましたが、琵琶湖疏水の水は、今も生活用水に、発電に、防火に、工業用水に、京都の生活と産業を支えています。

柵の横を、どどど~~っと、すごい水量の水が流れています。
これが琵琶湖から来ているのですね。 



 
蹴上船泊の第3トンネル西口にある「旧御所水道ポンプ室」。
このレンガと石造りの建物、片山東熊設計のネオ・ルネサンス建築!美しい建物ですよね!(近くで見たかったけど、中には入れない…残念) 

京都御所に防火用水を送る目的で建てられたポンプ室にしては、立派すぎますね。
当時の皇太子様(のちの大正天皇)が疎水を利用する際、京都側のここで皇太子様を出迎える目的もあったと聞けば、その豪華さにも納得。 
あとから知ったことですが(^^; 

なぜ大変な工事をしてまで疏水を作ろうと思ったのか。
それは、1869年に首都が東京に移ってから、京都の衰退が激しかったから。 

そもそも琵琶湖から京都に水を引く計画は、平安時代からずっと話があったそうです。
明治になってやっと実現した琵琶湖疏水。
その甲斐あって、疏水の開通後、京都はまた活気を取り戻し、産業もさかんになり、人口も増えていったとのこと。
琵琶湖疏水についてはこちらのサイトに詳しいです→http://sirdaizine.com/travel/KeageIncline.html 




 
インクラインの下にある「ねじりまんぽ」。
「まんぽ」は、京都や滋賀の方言で小さいトンネルの意。
蹴上インクラインを横断するための歩行者用トンネルで、上からの負荷に耐えられるよう、レンガを螺旋状にねじらせて組み上げていく技法がとられました。

なんか、ファンタジーの世界への入り口みたいですね。 
 トンネルの上に書かれた文字は、「雄観奇想」(素晴らしい眺めと優れた考えの意)。

粟田焼(京都・粟田の地で焼かれる陶器)でできていて、琵琶湖疏水を開通させた京都府知事・北垣国道(きたがきくにみち)の筆だとか。 
 このトンネルを抜けてまっすぐ行くと、南禅寺へと抜けられます。 

(つづく)