2019年6月25日火曜日

ニューイングランドツアー日記 その3オーチャードハウス


 
若草物語』の作者ルイザ・メイ・オルコットが住んだ「オーチャード・ハウス」のつづきです。


『若草物語』は、ルイザ自身の家族を描いた自伝的お話だということはあまりにも有名ですね。

オーチャード・ハウスでの暮らしも物語の基となっています。
ルイザ自身、4人姉妹で、ルイザはというと、物語のおてんばな次女ジョーです。
ジョーのようにルイザも自分の感情をコントロールできないことが悩みだったとか。

オーチャード・ハウスのソファには、「ごきげんうかがいクッション」が置かれていました。
長方形のクッションが縦に置かれていたらルイザの機嫌がよいことを示しているのだとか。 

聡明で優しい母もそのまま(物語以上にすばらしい母だった、とルイザ)。

家の中で劇を演じて楽しんだことも、ピアノが上手で内気なべスも、絵が得意な末っ子エイミーも、ルイザの家族や生活がそのまま投影されています。 

べスのモデルとなった妹エリザベスは、オーチャード・ハウスに引っ越す直前に猩紅熱のため、23歳の若さで亡くなってしまいました。
でも、オーチャード・ハウスには、エリザベスのピアノがあり、肖像画も飾ってあります。 

ルイザは1867年に、編集者から女の子のための本を書いてほしいと依頼され、自分の姉妹以外知っている女の子はほとんどいないからと、自分が体験した時代と、自身の家族を物語にしあげました。

物語がこびているところや気をてらっているところがなく、生き生きとしているのはそのためでしょう。

時代背景はかなり古いですが、今読んでもおもしろいんですよね。 

エイミーとして描かれた妹のメイは、作家として成功して得たルイザのお金で、絵の勉強をしにヨーロッパへ行かせてもらいました。

『若草物語』の初版の挿絵はメイによるものです。

体調がすぐれないルイザの気分がよくなるようにと、メイはルイザの部屋の壁にきれいな花を描いていますし、暖炉の棚にはフクロウ(知恵の象徴であり、夜更かしするルイザをフクロウに見立てたとも)を描きました(オーチャード・ハウスの内部は撮影が禁止なのでお見せできないのが残念)。 

家族愛が描かれた若草物語。ルイザも、愛する家族のために作品を描き、その収入を惜しげもなく家族のために使ったのでした。
自分の幸せより、家族を大事にしていたのです。 

のちに人手に渡ってしまったオーチャード・ハウス。
しかし、オーチャード・ハウスを博物館にしたいと、作家のハリエット・ルスロップが買い取り、有志が集まって協会が設立され、1912年に博物館として正式にオープンしました。 

オルコット家の偉業を伝えたい、という熱い思いが、今もボランティアとして働く多くの人々の中にも流れています。 

ご縁をえて、ボランティアでオーチャード・ハウスのガイドをされているミルズ喜久子さんに、ご案内をいただくことができました。
楽しそうにオルコット家のお話をしてくださる喜久子さん。
本当にオルコットが好きなんだな~~と、しみじみ感じられ、ツアーの参加者さんも目を輝かせてそのお話を聞かれていました(もちろん、私もです!)。 

オーチャード・ハウスのギフトショップでは、みんな興奮しながらいろいろとお買い物♪ 私は厳選して、厳選して… 


四人姉妹の付箋がかわいい!使うのがもったいない…。
右上のカードは、1915年版『若草物語』の挿画を担当したジェシー・ウィルコックス・スミスの絵。やっぱりいいなあ~。 


 
↑バスに乗る前に、歩いてすぐのところにある、ナサニエル・ホーソーンの家ウェイサイド」を見に行きました(外観だけ見たいとお願いしたの)。

実はホーソーンがこの家に住む前は、オルコット一家が住んでいたのです!
1845~1848年までの三年間、住んでいました。

ルイザはこの家(オルコット一家はヒルサイドと名前をつけていた)で、初めて自分の部屋をもらい、とても喜んでいます。

少女時代、この家での日々が最も幸せな時期だったと言っているほどです。
そんなこの家こそ、『若草物語』の真の舞台ですね。 

実は、『赤毛のアン』の作者モンゴメリも、オルコットが大好きでした。
『赤毛のアン』の原稿を受け入れ出版に応じたのは、実はカナダの出版社ではなく、ボストンの出版社でした。

赤毛のアンが大ヒットし、モンゴメリはボストンの出版社から招待を受け、1910年11月にボストンを訪れているんです。 
その時、モンゴメリは、このオーチャード・ハウス、そしてホーソーンの家(この家かな?別の家かな?)、エマーソンの家にも来ているんです。 

オーチャード・ハウスが博物館としてオープンしたのは1912年ですが、モンゴメリは1910年に訪ねた際、きっと内部も見学していると思います(コネクションを使って…(笑))。

そして、島以外で、私が住みたいと思った唯一の場所がコンコードだと、日記に書いているんです! 
モンゴメリが住みたいとまで思って気に入ったコンコード。
町の中心地(オーチャード・ハウスは町のはずれのほうにある)へ、お昼を取るため、移動です。 

 旅行記はその4へつづく