2020年11月22日日曜日

アンという名の少女

アンという名の少女』のシーズン1、NHKでの放映が終わってしまいましたね(;_:) 

2017年カナダのドラマ。
原題はAnne with an "E" Eのついたアン、というタイトルは、原作をお読みになっている方でしたらすぐにわかります。 

ロマンチックな名前じゃないからアンという名前は好きじゃない、でもアンと呼ぶなら、Eのついたアンで呼んでください、Eのついたアンのほうがロマンチックだから、とマリラに懇願するアン。
「では、Eのついたアン」と切り返すマリラはさすがです。 

英語だと、Annと Anneのふたつがあって、物語のアンはAnneと呼んでほしいというわけですね。 

名作と言われているけれど、『赤毛のアン』を読んだことのない方が、特に若い方には多いそうです。
アニメの赤毛のアンも、映画も観たことがないという人がいるくらいです。悲しいなぁ・・・ そんな、赤毛のアンを知らない方のことも考えてのタイトルとして、うまいと思いました。 

このドラマがカナダで話題になっていたのは2017年の時から知っていましたが、実際に観たのは今回が初めてです(有料チャンネルは契約していないので(^^;)。 

ちょうど、エラ・バレンタインさんがアンを演じた映画も同じ年に公開されていましたので、観られた方もいらっしゃるでしょう。 

エラ・バレンタインの映画は、『赤毛のアン』の作者・モンゴメリの孫娘ケイト・マクドナルド・バトラーさんが製作総指揮を務めて実写化した三部作。 
一部『赤毛のアン』が2015年、二部の『赤毛のアン初恋』と三部『赤毛のアン卒業』が2017年公開でした。→日本での公開は2017年と2018年。


『赤毛のアン』の映画としては、ミーガン・フォローズがアンを演じたものが有名ですが、1985年とだいぶ前のものなので、ケイトさんは現代の若者に物語を知ってほしいと、新しくつくったそうです。 

どちらにせよ、一作目は、原作にほぼ忠実につくってあるのは、同じです。 

そこに、『アンという名の少女』です。 これは他とはどう違うのか?というのが、実際に観てわかりました。 

物語をもとにした、完全にオリジナルのストーリーだったんですねぇ・・・。 

アン役のエイミーベス・マクナルティ(覚えにくい・・・)さんは、今までの実写映画の中で、もしかして一番、私のアンのイメージにぴったりかもしれないと思いました。
そういう声は他からも聞こえてきます。 

マリラも、ギルバートも、ダイアナも、私のイメージを壊しませんでした。
マシューは・・・かっこよすぎるかな・・・それにジェリーもなんであんなに美男子を選んだ!?(笑) 

それはそれとして、ストーリー的にも、暗いと言われているけれど、私は他の映画と同じようなものを作っても仕方がないし、オリジナルにするなら、あれはあれで有りです。 

ものすごくリアリティがあるので、実際、あの時代のあの村で、アンが物語のように暮らしたのであれば、ああいう問題は少なからず、あったでしょう。
すんなりと受け入れられていくはずはないと思います。 

『聖母のいない国』(青土社)は、アンの世界からは、アンの人気を支える女性たちに不快感を与えるような要素は注意深く排除されている、と指摘しています。 

「マシュウとマリラは夫婦ではないから性的要素は介在しないし、夫婦特有のいざこざも生じないし(中略)小さな町であるアヴォンリーのような地域共同体は、往々にして排他性が強いものなのに、アンはいつの間にかすんなり溶け込んでしまうし、パイの一族のような「嫌な子たち」はいるにしても、いささかなりとも陰湿ないじめの類は存在しない」 とあり、まさに、『アンという名の少女』はそこをあえて取り上げてストーリーを創り上げているわけですね。 

アンだけでなく、マリラやマシューのストーリーも織り交ぜていくのはうまい。 (一話で、カスバート三きょうだい、というのがひっかかっていましたが、回が進むにつれ、だんだんその意味がわかってきました)。 

原作の行間を読んでいる気がして、おお、こう来たか、と、毎回うなっていました。 
しかし、シーズン1の終わり方は・・・みなさんが書いているように、あんな尻切れトンボ、次回に続く的に終わるのはちょっと・・・ですよねぇ。

次への含みを持たせつつも、きちんと終わるという形にしてくれたらよかったのに。 次が気になって仕方がなくて、でも、有料チャンネルは申し込むつもりはないので、我慢できずにシーズン2と3のあらすじをネットで読んでしまいました(;^_^A 


原作では紫色のドレスなんだけどね。




お茶会のシーンはくいいるように見てしまった(^^ゞ 


この刺繍がかわいい!自分でもつくってみようかな。 

ドラマを見ていて、気になったのは赤土。赤毛のアンの舞台プリンス・エドワード島の特徴である赤土。 

ミーガン版でも、エラ版でも、実際のプリンス・エドワード島でロケしている時間は短く、ほんの数カットでした。 
プリンス・エドワード島は本土から遠く離れた小島ですし、こういう連続ドラマならなおさら、移動が少なくテレビ局にも近い本土でロケされるのが普通です。 

ということで調べてみたら、やっぱり、島でロケされたシーンはほとんどないようです。

赤土はというと、レンガを細かく砕いて敷き詰めたとのこと! かなり努力されていたんですね。 

グリーン・ゲイブルズ農場は、オンタリオ湖の北部にあるPickeringという町にあるそうです。 やはり、大都会トロントの周辺で撮影されています。 

原作をもとにしたオリジナル・ストーリーというのは、『アンという名の少女』が初めてではありません。 

『Anne Of Green Gables: A New Beginning』。2008年公開のカナダのドラマ映画。日本では『赤毛のアン 新たな始まり』として公開され、ミーガン・フォローズの赤毛のアン三部作の続編と位置付けられ、DVDボックスにも一緒に収録されています。
晩年のアンが、グリーン・ゲイブルズに来る前を回想するお話。 

同じように、アンがグリーン・ゲイブルズに来る前のことを、モンゴメリではない作家が描いた物語としては、バッジ・ウィルソンの『Before Green Gables』があります。
カナダで出版されたのは、上記映画と同じ2008年です。

2008年は、モンゴメリの『赤毛のアン』が出版されてから100周年ということで、いろいろな動きがありました。 

『Before Green Gables』は、日本では「こんにちはアン」という題名で、新潮文庫から翻訳出版されました。 
グリーン・ゲイブルズに来る前のアンを描いたという点では『赤毛のアン 新たな始まり』と同じですが、「こんにちはアン」のほうは日本で、日本アニメーションが、アニメ化しました。(「こんにちはアン」の実写映画化はされていません) 

上記の映画もアニメも、DVDになっていますので、ぜひご覧になってみてください。 こんな流れがあったおかげで(?)、「アンという名の少女」も、私の中で受け入れやすくなったと思います。

原作は原作。二次的作品は二次的作品。 
これだけ多くの影響を与え続けている『赤毛のアン』という作品。
やはりすばらしい名作をいえるでしょう。 

ちなみに、私も、アンをモチーフにした小説を書きました。日本人の女の子が主人公です。書きました、といっても、本という形にはなっていません(;O;) 
ネットで読めるWeb小説です。 携帯でもPCでも、登録必要なく、無料で読めますので、ぜひ、読んでみていただけたら幸いです。ぽちっと押すだけでページ飛び、読み始められます↓ 「念いのかけらhttps://ncode.syosetu.com/n7968gc/  





そして、私が訳させていただいたこの本。 中はオールカラーのイラストが美しい本です。お子さんでも読めます。 
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