2025年10月16日木曜日

名古屋名建築さんぽ:「揚輝荘」

夏に、岡崎市の岡崎信用金庫資料館を訪ね、建築家の鈴木禎次氏を知ったことを書きました。  

先週お訪ねした名古屋のReading Mugさんからそう遠くない場所に、鈴木禎次氏が手掛けた家があることを知り、午前中に訪ねてみました。

「覚王山」駅から坂道をのぼっていった(丘陵地みたいです)ところに目的の「揚輝荘」があります。

松坂屋の初代社長・伊藤次郎左衛門祐民(いとうじろざえもんすけたみ)の別荘で、池泉回遊式庭園をはじめ30以上のさまざまな建物が建てられました。
そのうち現存するのはわずか5棟ですが、当時の面影を見ることができます。
それらの建物と庭園をあわせ、全体を「揚輝荘」と呼んでいるようです。




こちら、赤いベンガラが印象的な「聴松閣(ちょうしょうかく)」
1937年、竹中工務店小林三造の設計により完成。
自然木を利用したハーフティンバー様式、山荘風の外観で気さくな印象を受けますが、要人や文化人を接待するための迎賓館として建てられたということで、内部は超絶意匠オンパレード!!です。

外観を撮ろうとするとすぐさま蚊がやってきた!
ふりはらってもふりはらっても襲ってくる・・・どこに行っても蚊に襲われる私(-_-;)

この建物のみ入場料300円。それだけの価値はあります。




1階奥の旧食堂。お客様が晩餐会をしたところ。
現在は休憩室(カフェ営業あり)になっています。

山荘風なので地味かと思いきや、木材には手斧(ちょうな)での名栗技法で彫が入れてあります。木材そのまま、っていう場所が見つからない・・・なにかしらデザインがほどこされている。




暖炉の周りにはめ込んである瓦。有名な寺院などの瓦みたいです。
暖炉の両側の柱(?)は竹みたい。




「いとう」の文字。いとう呉服店の店舗に掲げていた商標デザインを模した透かし彫りとのこと。

創業は1611年で、創業者は織田信長の家臣・伊藤蘭丸で信長の小姓役、三蘭丸のひとりだったんですってね!

「松坂屋」という社名は、伊藤屋(呉服店)が1768年江戸に進出したときに買収した上野の呉服屋の店名で、名前をそのまま使ったんだそう。


伊藤屋は1910年に株式会社化し、百貨店に転業。
その後、呉服店という名称が時代にそぐわないものとなったため、1925年に名古屋、上野、銀座、大阪の全店の商号を松坂屋に統一したのだそうです。

百貨店としての松坂屋の誕生は名古屋で、全国の百貨店の名前が統一されたのは1925年と20世紀になってからなんですね。




床にほどこされた名栗技法にも意味があり・・・伊藤の「藤」から、フジの花が並んで咲き乱れているさまを彫ってあるんだそうです。(ボランティアガイドさんが教えてくれた)




階段の手摺りにも全部、名栗技法がほどこされています。
二階へ。
寝室や応接室、書斎などに使われていた各部屋はすべて意匠が変えられています。暖炉一つとってもデザインが全部違います。すごい・・・



↑ この部屋は旧応接室。イギリス山荘風だそうですが、そんな感じはあまりしない(^-^;
私のお気に入りは丸窓のアルコーブ。パンフレットには、一等船室のイメージではないかと書いてありました(施主の伊藤がインド旅行やヨーロッパ旅行をしていたことから)。

和室もありましたよ。とにかく次はどんな感じ?と、見学するのにも飽きません。




今度は地下へ行ってみます。
ここは一転してインド・・・
伊藤は熱心な仏教徒で、インドなどへ仏教巡礼旅行をしているとのことで、その時に受けた感銘をこのアジャンタ石窟の写しの壁に表現したといわれます。

写真の左側に見えるのが地下トンネルへの入口。これもアジャンタ石窟寺院を模したともいわれていますが、トンネルの目的は不明だそうです。



招かれたお客様は食事後、地下のこの旧舞踏室に移動し、お酒やダンスを楽しんだそうです。
窓のすりガラスは、雪が積もったヒマラヤ連峰をあらわしているとか!
暖炉のレリーフはカンボジアのアンコールトムに見られる踊り子だそう。




連絡通路を通って、北園へ行ってみます。
こちらは京都の修学院離宮の影響を受けたといわれる池泉回遊式庭園があり、その周りに茶室や橋などがつくられています。

ここも蚊にさされる危険大、頭からフードをかぶって備えます(^▽^;)




この庭園のシンボル廊橋「白雲橋」




渡れませんがここも意匠がすごい。



煎茶の茶室「三賞亭」
中には入れませんので見るだけ。




はい、こちらが私が見たかった、鈴木禎次設計の「伴華楼」
英語のバンガローをもじっているとか。

鈴木禎次が手を加えた、というほうがいいのかな?
尾張徳川家から移築された茶室付きの和室に、洋室を増築。1929年に完成した和洋折衷の建物だとのことで、なんだか不思議な感じですよね。

残っている建物は茶会やコンサートなどいろいろなイベントに使われているようです。近くにいる人はいいなあ~。




駅へ戻る途中、気になっていた「ロンドンカップケーキス」というお店に寄ってみました。
イートインができるとのことで、アップルパイ味のカップケーキをチョイス。

奥様はロンドン出身のイギリス人。ちょっとお話ができました♪



イートインができる2階。かわいい(*'ω'*)
甘すぎず、食べやすくておいしくいただきました。
 

さて、今後の私のお茶会です♪

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★★11月20日(木)ヴォーリズのお茶会@静岡市

ウィリアム・メレル・ヴォーリズの来日120周年にあたる今年。彼が手がけた建物を中心にその魅力をお伝えします。会場の旧宣教師館ミス・カニンハムは、ヴォーリズの建築です。通常は非公開。

午前の部 10:30~12:00 空きあり
午後の部 13:30~15:00 残席2席

参加費:3,000円
会場:静岡英和女学院旧宣教師館ミス・カニンハム(静岡市葵区西草深町34-13)駐車場はありません。静岡駅からバスをご利用いただくか、周辺のコインパーキングをどうぞ。


★★11月26日(水) ヴォーリズのお茶会@浜松市
ウィリアム・メレル・ヴォーリズの来日120周年にあたる今年。彼が手がけた建物を中心にその魅力をお伝えします。
13:30~を予定していますが、ご希望が多ければ午前も開催します。

参加費:2,800円
会場:浜松市入野の個人宅 駐車場有

お申込み、本のお申込等のお問合せは奥田あてに!

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