湖水地方在住の画家・祖父江英之さんに、ウォーキングツアーで美しい自然をご案内いただきました。
実際に暮らされて感じる湖水地方の美しさや、暮らしぶりや、画家としてビアトリクスをどう思うかなどなど、たくさんのことを聞いたり、お話ししていただいて、普通のツアーでは味わえない貴重な体験となりました。
祖父江さん、ありがとうございます!
エスウェイト湖は、ビアトリクスがとても美しい、とお気に入りだった湖。
『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』の舞台になった湖の一つです。
空は晴れて、暑いほど日差しが降り注ぎます。
湖の周りは遊歩道が整備され、生息している動物などの案内板も。
エスウェイト湖の駐車場でバスが待機してくれていて、ここからホークスヘッドの町へ向かいます。
ここにはビアトリクス・ポターギャラリーがあります。
もとは、ビアトリクスが結婚したウィリアム・ヒーリス弁護士の事務所だった建物です。
こちらのギャラリーのポイントは、テーマに合わせてビアトリクスの原画を実際に見ることができること。
ホークスヘッドは、『まちねずみジョニーのおはなし』の舞台(”まち”として描かれた)にもなっています。
絵本にも描かれている、建物の下がトンネルのようになっていて、人や荷馬車が通るシーン、ありましたね。
同じ原画をもとにしているのに、こうもピーターたちの顔が違うのはなぜなのか??
これはピーターじゃないでしょう、というグッズも(笑)
ビアトリクス・ポターギャラリーも小さいので、二手に分かれて交互に見学。
その後、自由時間をもうけて、町を散策しました。
以前来た時(何十年も前…"(-""-)")よりも、かなり観光地化されているのに驚きました。
ニア・ソーリーから一番近い、割といろいろなお店が揃っている町で、駐車場も余裕なので、みなさんここに立ち寄るのでしょう。
以前来た時、ニア・ソーリーからのバスが停まってくれなくて(手を上げないと停まらないらしい…バス停にこれから乗るぞって体で立ってるのにものすごい早さでスルーされた。そんなのあり??!バスの便がただでさえ少ないのに)、泣きながらホークスヘッドまで歩いたことを思い出します。
バッグパッカーでものすごく荷物が重くて…(;O;)
今では懐かしい思い出ですが。
私のツアーはゆっくり時間をとってスケジュールを立ててありますが、夕食の時間までまだ余裕が出たので、祖父江さんがその時間内で行ける、景色のきれいな場所として、ジョン・ラスキン(1819-1900)が晩年に過ごした家「ブラントウッド(Brantwood)」に案内してくださいました。
湖水地方は、大小たくさんの湖が点在する風光明媚な地域で、ブラントウッドがあるのはコニストン湖岸です。
バスからの眺めも美しく…
ジョン・ラスキンは思想家・美術評論家で、思想面ではあのウィリウム・モリスに影響を与えています。
彼の思想から影響されたアーツアンドクラフツ運動や、その後の運動家の精神的支えになったそうです。
『不思議の国のアリス』の作家ルイス・キャロルとも交流がありました。
もう閉館時間が迫っていて建物の中は見学はできないので、景色と、ギフトショップだけ見せていただきましたが、確かに、ここからの眺めは最高です!!
言葉がありません。
コニストン湖をのぞむ高台に建てられたこの家をラスキンは1871 年に購入し、亡くなるまでの18年間を過ごしました。
アーツアンドクラフツ運動に影響を与えた人ですから、美意識は高く、館内を見学できれば、彼が自宅をどういう空間にしていたかもうかがえて興味深かったでしょうが、それは次回のお楽しみとしましょう。
人間が自然界を壊していることも当時から主張しており、そのお庭も250エーカーもあると聞いてびっくり。短時間で見る場所ではなさそうです(;'∀')
このあと、名残惜しく祖父江さんとお別れし、夕食を予約している「リンデス・ハウ」へ。ここはビアトリクスの両親が以前に借りたことがある建物で、ビアトリクスの父が亡くなったあと売りに出ていたのを機に、ビアトリクスは一人残された母を湖水地方へ引き取る際の母の家として共同購入しました。
現在はホテルになっています。
ビアトリクスの写真などが飾ってありました。
夕食をいただいているときはにわか雨がありましたが、食べ終わったころには雨がやみました。本当にラッキーです。
ビアトリクスゆかりの場所はほかにもあり、今日一日で見れたところは少しではありますが、ビアトリクスが愛した湖水地方の自然と、ビアトリクスが過ごしたヒルトップ農場、原画が展示してあるギャラリーを見ることができ、さらにさらに、ビアトリクスゆかりの場所で昼も夜も食事ができて、これ以上ないというくらいの充実感でした。
明日は湖水地方を離れるかと思うと、名残惜しい……。
(その4につづく)